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HIBIKI column vol.21

昔から、ある種の人間達の目に留まる人種だった。
街中ではいているハイヒールの高さを訪ねられたり、
突然車の中から自慰を見せつけてきたり、、、、
その度に私は冷静に笑顔で彼らを見下していた。
この時も・・・・
私はその時まだOLをしていて、SMと言う世界がこの世にあるなんて知らずにいた。
毎日毎日同じ時間に出勤し、仕事をキッチリとこなし、そして毎日同じ道を通って帰っていた。
そんなある日、その日の仕事を終えて歩いていると後ろから声をかけてきた男性が。
何か道に迷ったのか私にその土地の周辺について尋ねてきた。
私は警戒心を緩め、親切にそして笑顔で答えその場を去ろうとした。
しかし男性は続けて私にこういった
「お茶できませんか?」
私は一瞬にして表情を強張らせ、「結構です」と言い放ったが、男は引き下がらない。
「5分で良いから」押し問答する事10分強
結局私は押しに負け、目の前の安いフランチャイズの店に入りボランティア程度に少し話をしてさっさと帰った。
どうでも良いようなハプニング。
翌週には忘れてしまいそうな出会いだった。

その数年後。
私はSMクラブでアルバイトをするようになり、女王様として働いていた。
向き不向きは別として、苦では無い仕事。
昼間とは別の人格。
今まで知らなかった世界。でも懐かしいような世界。
男の秘密の告白を聞き、それを具現化するある種の聖職者的な役割を私は楽しんでいた。
ある日、何度かプレイしたことがある男が帰り際に言った
「僕、昔HIBIKIさんと出会ってるんだよね」
「そりゃそうだろ。今日で私とプレイするの何回目よ」と私。
「いや、じゃなくて。。。僕もこないだ気が付いたんだけど、昔HIBIKIさんに道で声かけてお茶したんだよ!!!」
ありえない。。。。
私は一笑した。しかし男は話続けた。
「こんな色気のある女はいないって夢中で声かけたもん。
こないだHIBIKIさんが身に着けてたペンダントを見て、あの時の子だって気が付いたんだよ。
それ、一点物でしょ?」
男が私のペンダントを指さした。
確かにオーダーものなので他に同じのを持ってる人はいない・・・。
マジですか・・・・・・・・って記憶をたどる。
そうだ、5分だけって向かい合ってお茶をした男だ。
頭の中のパズルの1ピースが穴の開いた記憶にはまる。
それがこのM男だったなんて!!!
私って生まれながらにM男を寄せる変態女だったのね!!!(笑)

そんな昔の思い出話をスタッフと笑いながらしていた午後。
Twitterから来たメッセージを確認していると昔私とプレイしたことあるという男から連絡が。
最近この手の連絡が多いので、顔写真を送ってもらうとそこには、その男の顔が!
こんなデジャブってあるだろうか?
やはり私は、ヒキが強いらしい。
近々再会するであろうこの男を、私は優しく踏みつけるだろう。

運命とは不思議。
結局何に化けても君たちの目の前では、ただの女王様に戻ってしまう。
それもまた愉し。
人生は楽しんでこそ全て。

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